妄想~狼少年より Art 2025.03.042018.02.19 wolf boy「オオカミを見たよ」 そう話す少年を信じる者はいなかった オオカミなんて 爺さんのそのまた爺さんの代に とうに絶えた筈だったから 一握りの物好きだけが少年を訪ねた 「オオカミが来たよ」 少年は血まみれの子羊を抱えて現れた 道行く人全てが振り向いた これが牙と爪の跡だと 少年は誇らしげに傷だらけの全身を晒したが 綺麗なままの片腕が言っていた 「オオカミはいない」